3D曲面透明ヒーターとは?
薄型・微細配線で立体形状に対応するヒーター技術
製品の小型化・薄型化が進む中で、
「曲面に沿ってヒーターを配置したい」
「限られたスペースに発熱回路を組み込みたい」
「ヒーターを薄く、軽くしたい」
といったニーズが増えています。
特に車載部品や光学機器などでは、平面ではなく立体的な形状に合わせてヒーターを配置する必要があります。
こうした用途で検討できるのが、3D曲面透明ヒーターです。
電気印刷研究所では、フィルム上に微細な発熱回路を形成し、3D曲面へ展開できる独自の「電気印刷®」技術を確立し、受注販売(試作受託サービス)を行っています。。
実際の試作では、線幅50 μm、ピッチ1 mm、銅厚1 μmのメッシュ回路を形成し、12 V印加時に6.9 Wの消費電力を確認しています。
本記事では、この試作例の数値を紹介しながら、3D曲面ヒーターの特徴と活用の可能性を分かりやすく解説します。
3D曲面透明ヒーターとは?
3D曲面ヒーターとは、製品の立体的な形状に合わせて発熱回路を配置するヒーターです。
一般的なヒーターは平面を前提としている場合があります。
一方、製品によっては、
・曲面ミラー
・カメラや光学部品
・車載部品
・センサー
・曲面カバー
など、立体的な形状にヒーターを組み込む必要があります。
このような場合、製品の形状に合わせて発熱回路そのものを設計することで、3D曲面へのヒーター搭載を検討できます。
3D曲面ヒーターの基本使用例
電気印刷研究所では、3D曲面ヒーターの受注生産(試作受託)を行っています。
今回のメッシュ状発熱回路は、当社の試作受託サービスにおける基本仕様(実測値)の一例です。
今回の試作では、フィルム上にメッシュ状の発熱回路を形成しています。
試作回路の主な仕様
①寸法 : 下図(3D成型前の寸法)
②メッシュ : 線幅 50 μm
ピッチ 1 mm
銅の厚さ1 μm
③電気特性 端子抵抗 21 Ω
印加電圧 12 Vの場合
消費電力 6.9 W
単位面積当たりの電力 115 mW/cm²
④光学特性 透過率 87%(PCフィルムの透過率を88%として)
※試作結果であり、製品仕様を保証するものではありません。実際の特性は、回路パターン、面積、基材、電気条件などによって変わります。
線幅50 μmの微細メッシュによる発熱回路
今回の試作では、メッシュの線幅50 μm、ピッチ1 mmという回路パターンを採用しています。
50 μmは0.05 mmです。
一般的な定規の目盛りと比べても非常に細い配線であり、こうした微細な回路を利用することで、フィルム上に発熱回路を配置できます。
また、銅厚は1 μmです。
ヒーターを製品へ組み込む際には、発熱性能だけでなく、厚みや重量、デザインへの影響なども重要になります。
そのため、薄いフィルム上に必要な回路を形成できることは、製品設計の選択肢を広げるポイントになります。
12 Vで6.9 Wの発熱を確認
今回の試作では、端子抵抗が21 Ωとなっています。
12 Vを印加した場合、
消費電力:6.9 W
という結果が得られています。
さらに、単位面積当たりの電力は、
115 mW/cm²
です。
この数値は、3D曲面ヒーターを実際の製品へ導入する際に、必要な加熱範囲や電源条件を設計するための基準値になります。
ただし、必要な発熱量は製品によって異なります。
「12 Vで使用したい」
「この面積を加熱したい」
「0℃まで温度を上げたい」
など、製品ごとの条件に合わせて回路設計を検討することが重要です。
透過率87%のメッシュ回路
今回の試作では、光学特性として透過率87%を確認しています。
なお、この数値はPCフィルムの透過率を88%として評価したものです。
つまり、透明性が求められる部品についても、メッシュ状の回路を利用することで、視認性への影響を抑えながらヒーターを組み込める可能性があります。
例えば、
・光学部品
・カメラ周辺部品
・センサー部品
・透明カバー
・車載部品
など、「加熱機能を持たせたいが、見た目や光の透過も維持したい」という用途で検討する余地があります。
ただし、実際の透過率は基材や回路パターン、測定条件などによって変わるため、用途ごとの評価が必要です。
3D曲面ヒーターが活用できる用途
3D曲面ヒーターは、単に「曲げられるヒーター」というだけではありません。
製品形状に合わせて発熱回路を配置できることが特徴です。
・車載ミラー
ミラー表面の曇りや霜などへの対策として、曲面形状に合わせたヒーターを検討できます。
・カメラ・光学機器
レンズやカバーの結露・曇り対策として、必要な部分を加熱する用途が考えられます。
・車載センサー
センサー周辺の温度管理や、雪・霜などへの対策として検討できる可能性があります。
・透明・半透明部品
今回の試作では透過率87%を確認しているため、透明性が求められる部品へのヒーター搭載も検討対象になります。
3D曲面ヒーターの設計で重要なこと
3D曲面ヒーターは、どのような形状でも同じ回路を使用できるわけではありません。
実際の製品に組み込む場合は、
・曲面の形状
・ヒーターの面積
・必要な発熱温度
・電源電圧
・必要な消費電力
・透明性の必要性
・基材の種類
などを確認する必要があります。
特に重要なのが、「どの場所を、どの程度の温度まで加熱したいのか」です。
同じ3D曲面でも、必要な発熱量が変われば回路パターンも変わります。
そのため、製品形状と要求仕様をもとに、発熱回路を設計することが重要になります。
電気印刷による微細な発熱回路
電気印刷研究所では、静電潜像、現像、無電解めっきによってフィルム上に回路を形成する技術をを用いた回路製造サービスを提供しています。
簡単に言えば、必要な回路パターンをフィルム上に形成し、その部分に金属を形成する技術です。
この方法により、今回の試作のような線幅50 μmの微細なメッシュ回路を形成しています。
また、マスクレス・フォトレスによる回路形成のため、試作段階で回路パターンを変更しながら検討する場合にも適用を検討できます。
ただし、基材、形状、回路仕様、使用環境などによって適用条件があります。
実際の製品への採用については、個別の仕様確認と試作評価が必要です。
3D曲面ヒーターを検討するなら
3D曲面ヒーターは、
「平面ヒーターでは製品形状に合わない」
という課題に対する一つの選択肢です。
今回の試作では、
線幅:50 μm
ピッチ:1 mm
銅厚:1 μm
端子抵抗:21 Ω
12 V時の消費電力:6.9 W
単位面積当たりの電力:115 mW/cm²
透過率:87%
という結果を確認しています。
これらはあくまで今回の試作条件における数値ですが、3D曲面に微細な発熱回路を形成する具体例として、製品開発の参考にしていただけます。
「この曲面にヒーターを組み込みたい」
「透明性を維持しながら加熱したい」
「薄いフィルム状のヒーターを検討したい」
といった課題がありましたら、まずは製品形状や要求仕様をお聞かせください。
お客様のご要望に合わせた最適な試作・部材供給を提案・実施いたします。